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個人の寄付募集をNHKが報じることは適切なのか

NHK

昨日のニュースウォッチ9でも取り上げられていたので。

重い心不全で心臓移植が必要な1歳の女の子がアメリカで移植手術を受ける資金を集めようと、支援者や両親が募金活動を始めました。円安などの影響で費用が高くなり5億円以上が必要だということで「家族ではどうすることもできない金額でなんとか協力をお願いしたい」と訴えました。

東京・豊島区の佐藤昭一郎さんの次女、葵ちゃん(1)は生後まもなく心臓の壁に穴が開いているのが見つかり、2回の手術のあと、重い心不全の状態になりました。
埼玉医科大学国際医療センターに入院していますが、国内では早期の移植が望めないとして両親はアメリカのコロンビア大学病院での移植を目指すことを決めたということで、14日、支援者でつくる「あおちゃんを救う会」と両親が厚生労働省で記者会見して募金を呼びかけました。

円安で海外での子どもの心臓移植費用高騰 両親ら寄付募る、NHK、2022/11/14 16:58

テレビ朝日も同様に報じている模様。

心臓移植の費用は5億円。海外での手術に円安が高いハードルとなっています。  体中にチューブが通された痛々しい姿でありながら時折、笑顔を見せる佐藤葵ちゃん(1)。生まれた直後に先天性心疾患と診断されました。  これまでに国内で4度の手術を受けましたが、心臓から必要な血液が送り出せていない「重症心不全」になり、補助人工心臓とペースメーカーで命をつないでいる状態です。  助かる道は心臓移植しかなく、一刻も早い手術が望ましいなか、両親はアメリカでの手術を決断。

“円安”で1歳女児の心臓移植費用が高騰 1.5倍の5億円に… 救う会が募金呼びかけ、テレビ朝日、2022/11/14 18:10

2週間前に別の子のニュースはFNNが報じている。

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選択したのは両親であるということ

両社が報じているように、あくまでも両親が選択したということは忘れてはならない。

自分の子供がもしなったらどうするか、と言われれば同じ行動をとる可能性は否定しない。

移植が必要で、アメリカにわたることを決断すること、募金を呼び掛けることは自由である。ただ、それを公共放送で流す必要はあるのだろうか。

海外の移植手術に、日本の公的医療制度が使えるわけもなく、自己負担になるのは自明である。そして日本円は基本的に、日本国内でのみしか使えないのだから、為替変動は多少なりとも影響は受けるし、円安になればこうなるだろう。

日本の臓器移植希望者はすべて合わせれば1万5千人を超えているわけで、順番待ちをしてもいつ来るのかわからないといった現状は理解できる。今年は提供90人、移植373人(参考:日本臓器移植ネットワーク)であって、やはりハードルは高い。

NHKのニュース内にある通り、

これに対して臓器移植を待つ人の数は、
心臓の場合ことし9月末時点で
▽10歳未満が43人、
▽10代が59人いて、
待機患者に比べて臓器提供が少ない状況が続いています。

円安で海外での子どもの心臓移植費用高騰 両親ら寄付募る、NHK、2022/11/14 16:58

となっており、他にも多くの人が待っているのが現状だ。

もちろんたまたまこのタイミングで会見を開いたのがこの両親だったのかもしれないが、この両親だけを取り上げるのは公共放送としてどうなんだろう。

NHKが「呼びかけているわけではない」とはいえ、認知されるかどうかが大きいのは言うまでもない。

移植を増やそう。意思表示をしようという啓蒙をするならわかる

日本は移植は少ない。

健康保険証や運転免許証、マイナンバーカードをはじめとして臓器提供意思表示が記載されるようになってから結構な期間がたったように思う。

とはいえ、結局は家族の同意が必要だし、増やすためにどうやって意識を変えていくのかは大切だろう。

脳死が人の死と認められているかだとか、そのあたりの認識が大きいように思う。日本は家族が結局同意しなければいけないが、アメリカ、ドイツ、イギリスは、本人の生前の意思or家族の同意でよいし、オーストリア、フランス、スペインは、本人が提供しない意志を示しておかない限り提供するらしい。(参考

そう考えると、日本はまだまだこういったところの考えが進展していないし、移植を効率的に進める手立てもできていない。もちろん昔よりは良くはなったのだろう。とはいえ97年から2019年までの22年間の件数が、アメリカの1年の件数に及ばないのだ。

結局、こういった問題を解決するには、移植手術が国内でもっと行えるようにすることが求められるのだろう。

そういったことを報じるのであれば、公共放送として意味があるだろう。別に、提供を強制する必要はない。ただ、提供をしやすい環境づくりをする力はメディアにはあるはずだ。

番組間にNHKも番宣をするけど、こういった啓蒙活動にその枠を使うことも公共放送としての姿としてはありなのではないだろうか?

円安がメインだろうけど、個人行為の報道は公共放送にそぐわない

他にも待っている子がいるわけだ。

「○○ちゃんを救う会」と検索すればいくらでも出てくる。そうだ。みんな待っているし、日本で待つぐらいなら海外をと考えている人はいるのだ。そして、その海外にも移植を待つ子供たちはいるわけだ。

そう考えていくと、営利放送である民放で取り上げるのは勝ってだが、公共放送としてそのことを取り上げるのはいささか不適切だと思わざるを得ない。

NHKテレビ朝日メディア
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