村上宗隆の55号HRは、バースを抜き、王貞治氏の記録に並んだことは事実だ。しかしこれは”日本人”最多タイなのであろうか?
村上宗隆の55号HR
9/13に2本のホームランを打ち、シーズン55本打ったのは紛れもない事実である。
現在の日本プロ野球記録は、2013年の60本打ったバレンティンであるし、今まで2位に位置していたのは、64年の王貞治、01年のローズ、02年のカブレラの55本であり、これに並んだこととなる。
ついで、85年のバースが54本、63年野村克也、85年落合博満の52本と続いていく。
記録はすべて事実であるが、再三メディアが表現する「日本人最多」記録というのであれば、52本なのではないだろうか。
「日本人」と「日本出身選手」は違う
王貞治氏は、中華民国国籍であり、東京都出身のプロ野球選手だ。
そう、中華民国国籍である。もちろん、日本国籍を持っている人といっているわけではないだろうが、日本人ということは日本にアイデンティティを持っている人を差す言葉だ。
王貞治氏は、帰化をせず「中華民国国籍」を所持している事実からして、メディアが「日本人」と表現するのはいささか問題があるのではないだろうか。
もちろん、王貞治氏が日本で生まれ、日本で育ち、日本で活躍した選手は間違えのない事実ではある。しかし、安易に「日本人」と表現するのは失礼なのではないだろうか。
各社の報道
TBS

FullーCount

サンスポ

スポニチ

日刊スポーツ

スポーツ報知

中日スポーツ

日本テレビ

NHK

理想的な表現はなんなのか
「日本選手」と濁した表現を使うメディアが多くみられる中で、TBS、スポーツ報知は「日本人」と表現している。
そもそも「日本選手」という表現は、何を指しているのかが意味不明であるし、「日本人」としては初の記録だから「日本人」と表現しているメディアは論外だ。
「日本出身選手」であれば、生まれと高校も日本であるからあながち間違いではないだろう。出生地に着目するのであれば、「日本生まれ」も間違いではない。
表現としておかしくないのはこの辺りであって、中途半端な表現は良くないのではないだろうか。
外国人枠の選手と、それ以外の選手で分けて表現した可能性はあるのだであろうが、01年のローズ、02年のカブレラ、13年のバレンティンはそれぞれ04年、09年、19年にFA権を取得し外国人枠からは外れている。記録当時の「枠」で表現するのはいささかわかりにくいように思えてならない。
もちろんメディアはインパクトが欲しいのはわかるが、メディアなのだから正確な情報を届けていただきたいものである。
そもそも歴代2位タイでいいのでは?
「王貞治氏らに並ぶ歴代2位の記録」で別にいいのだ。
別にそれが誰がやったかなんて気にしなくたっていいのではないか。
もちろん日本のプロ野球には、「外国人枠」があるし、「外国人」であっても日本人としてプレーする道がないわけではないのだ。
そして「○○人」やそれに類する表現は、その人のアイデンティティを脅かして表現している可能性があることを忘れてはならない。
しいて言うのであれば、「ドラフトにかかった選手」としては落合博満氏を抜いた時点で最多記録というぐらいで、あとは歴代2位タイぐらいで十分なような気もする。
(王貞治氏、野村克也氏はドラフト開始前の入団のため)
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