分裂とはいうものの実際分裂なのかは謎ではある。謎。
那覇市長選(16日告示、23日投開票)を前に、玉城デニー・沖縄県知事ら「オール沖縄」勢力の支援を受けてきた現職の城間幹子市長が12日、政権与党が支える前副市長の知念(ちねん)覚(さとる)氏(59)(自民推薦)を支持すると表明した。オール沖縄は前県議の翁長(おなが)雄治(たけはる)氏(35)(立民・共産・れいわ・社民推薦)を推しており、同勢力が割れる異例の構図となっている。
那覇市長選「オール沖縄」分裂…現職が「離反」、政権側支持を表明、読売新聞オンライン、2022/10/13 7:16
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城間市長の「離反」は翁長陣営にとって大きな痛手だ。市議会の市長与党会派は11日、陣営の選対本部長就任を城間市長に打診したばかり。陣営幹部は「後継だと前面に出して戦うつもりだったのに」と嘆く一方で、「雄志氏や市民への裏切り行為だ」と批判を強める。翁長氏は12日、記者会見で「有権者が判断するのでは」と淡々と語った。
陣営は、辺野古移設反対の城間市長が、移設に賛成する自民党の推薦を受けた候補を支える矛盾を訴え、「雄志氏の遺志を継ぐのは翁長氏だ」とアピールする方針。玉城知事も翁長氏を全面支援し、城間市長離反の影響を最小限にとどめたい考えだ。
城間現市長は、元々はオール沖縄候補であるのは確か
城間市長は2期目で、2014年にオール沖縄の候補をして、翁長氏の辞職を受けて行われた市長選に立候補し当選したとされる。確かに2014年の選挙戦は、自公が与世田氏を推薦していることから「自公候補ではない」のは確かだ。
そう、那覇市長選は自公側は推薦を出しているが、オール沖縄側は推薦を出しているわけではない。
城間氏は前市長の翁長雄志氏(64)の後継として立候補し、市議会最大会派で自民党を除名になった「新風会」や革新政党などの支援を受けた。米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対の立場を取り、「普天間の早期県外移設を求める」と訴えていた。市長選には無所属新人で前副知事の与世田兼稔氏(64)=自民、公明推薦=が立候補。得票数は城間氏が10万1052票、与世田氏が5万7768票。
【電子号外】那覇市長に城間氏当選 翁長市政の継承支持、琉球新報、2014/11/16 19:55
城間氏は知事選で当選を確実にしている翁長氏とのセット戦術を全面的に展開し、市全域で支持を広げていった。
社民や共産、社大など、支援を受ける革新支持層を手堅くまとめたほか、新風会の市議らによる精力的な活動もあり、終盤まで豊富な運動量を継続し、保守層からも一定の支持を得た。
(てかこの記事選挙日の当日の20時前の時刻なのは何でだ?)
2度目の選挙戦となった2018年は、対抗馬の翁長政俊氏に自公維新希望と推薦が付いている。
沖縄知事選、名護市市長選や宜野湾市長選では、オール沖縄が推薦を出しているにもかかわらず、彼女の選挙戦は一貫してついていない。そう考えるとそもそも「オール沖縄分裂」なのかは怪しいところだ。
沖縄知事選
2014:自民・次世代/共産・生活・社民・沖縄社会大衆党・新風会
2018:自民・公明・維新・希望/立憲・国民・共産・自由・社民・沖縄社会大衆党
2022:自民・公明/立憲・共産・れいわ・社民・沖縄社会大衆党・にぬふぁぶし
宜野湾市長選
2012:自民、公明、新党改革/共産、社民、沖縄社会大衆党
2016:自民・公明/共産・社民・生活・沖縄社会大衆党・民主党県連
2018:自民・公明・維新/社民・共産・沖縄社会大衆党・立憲民主・自由・国民民主
2022:自民・公明/立憲・社民・れいわ・沖縄社会大衆党
名護市長選
2014:自民/社民・共産・沖縄社会大衆党・生活
2018:自民・公明・維新/社民・共産・自由・沖縄社会大衆党・民進(立憲支持)
2022:自民・公明/立憲・共産・社民・にぬふぁぶし・沖縄社会大衆党・れいわ
知念覚氏は前副市長
そう。知念氏は前副市長なわけだ。
翁長前知事の市長自体の側近(市職員)でもあり、副市長を務めていたわけだ。平成27年3月から令和4年8月まで副市長であった。
翁長氏から副市長であった城間氏が後継になったように、城間氏から副市長であった知念氏が後継になるのは、別におかしな話ではない。
そもそも副市長は、市長が指名するものだ。もちろん、議会の同意は必要だが、市長が指名する。まぁここの氏名は、その市政がどうしていくかで違うが、那覇市の場合は行政から1人、議会から1人というのが慣習であったようだ。(参考)
知念氏は、もともとは市職員であり、行政側の選任ではある。ただし、これは市長が指名する権利を有しているのであって、そもそも政治信条が違う人、考え方が違う人を指名する必要はない。ある程度候補は市長が選ぶ前に決まっている場合が多いだろうが、市長が選ぶわけだ。
この制度であるからこそ、市長の後継が副市長になりやすい所以でもあろう。
そう考えると、別に城間氏が知念氏を応援することに違和感を見出せない。そもそも直前まで市長ー副市長として動いてきたのに、考え方が正反対のわけがないだろう。
今回の選挙は「那覇市長」選挙である
結局はここに尽きるのだろう。那覇市長選挙なのだ。沖縄県知事選挙ではないし、名護市長選ではない。
那覇市の市政を決めるための選挙である。沖縄テレビ放送の記事に議員の声が載っていた。
城間市長は12日市議団に対し、翁長さんの選対本部長を受けることはできませんと断った上で、前の副市長で自民・公明が推薦する知念覚さんを個人的に応援すると伝えたということです。
城間那覇市長 知念覚氏応援する姿勢示す、沖縄テレビ放送、2022/10/12 18:53
与党市議・多和田栄子議員 「8年間一緒に彼に助けられながら仕事をやってきて、このまま自分は見捨てたら卑怯者になるからと言っていました。」
8年間一緒に仕事をしてきたのだから、個人的に応援する姿勢を見せるのは不思議ではないだろう。
「オール沖縄が出発した時の面々が並んでいる。(私が知念氏を支持することは)翁長雄志も喜んでいる」。12日夕、知念氏の支持者に拍手で出迎えられた城間氏は、知念氏とハイタッチし目に涙を浮かべた。会場には故翁長氏が知事時代に副知事を務めた浦崎唯昭氏、安慶田光男氏の姿があった。
「オール沖縄」と“決別”宣言 城間市長、知念氏を支持 「私は保守中道」転換を否定 那覇市長選、沖縄タイムス、2022/10/13 7:09
過去2度の選挙で「オール沖縄」の全面支援で当選した城間氏。だが、5月の引退会見、6月の市議会答弁で「オール沖縄」から距離を置く発言を繰り返していた。
この日、記者団から自身の政治姿勢の転換についてオール沖縄支持者や与党市議団に十分説明したか問われると、「支持者にもいろんな人々がいる。選挙の時にはお世話になった。理解いただけると思う」と応じた。玉城デニー知事にも自らの考えを伝えたという。
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こうした声は城間氏に届くのか。城間氏は自らの政治姿勢は変節ではないと主張。「スタート時点から私は真ん中。保守中道なんです」と“裏切り”を否定した。
オール沖縄といえども一枚岩ではそもそもなかった。みんなよい沖縄を模索はしているのだろうが、故翁長氏の知事時代の副知事も知念陣営だ。そう考えると城間氏が知念陣営を応援するのもありな気がする。
そもそも選挙で応援されたとはいえ、先にも述べたように城間氏は推薦を受けているわけではなかったはずだ。そこが彼女が「保守中道」というところの本心のように思える。
たまたま、オール沖縄が自分の政策で選挙応援してくれたから「オール沖縄側」の候補だったのだろう。与党議員は反発しているようだが、副市長を決めたのもまた議員なわけで。ちょっと論法がよくわからない。単に自公憎しなだけなのかもしれないが。
そもそも那覇市長選で「普天間・辺野古」は何かする余地があるのか気になるところではある。
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