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結局「月平年値の1.5倍」という表現は適切なのだろうか?

メディア
https://tenki.jp/forecaster/deskpart/2022/09/24/19706.html

インパクトの面で言えば、平年すなわち普段の1か月分の雨が1日で降ったのだから、すごいように感じる。しかし、本当にそれでよいのか?

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月平年値は月の平年値でしかない

月平年値は月の平年値でしかないはずなのだ。当たり前ではあるが。

1か月のうちに1日しか雨が降らなくて、それが30年続いた結果平年値となった場合でも「月平年値」なのだ。この前提は忘れてはいけないような気がする。

もちろん、日本においてそんな地点はないだろうし、現実的にはあり得ない。
しかし、「○○倍」と表現するのが果たして適当なのかは微妙な気がしてならない。

今回、「静岡観測点(静岡県静岡市)」で

1日の降水量「246.0mm」(2022/9/23)
1時間最大降水量「107.0mm」(2022/9/24)
24時間最大降水量「416.5mm」(2022/9/23)

を観測した。日降水量は観測史上3位、1時間降水量・24時間降水量は観測史上1位の記録である。
24時間降水量は、通年で見ても史上2位の記録で、多い雨が降ったのは事実だ。

通年の観測史上1~10位の値(黄色が今回の豪雨相当分)
https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/rank_s.php?prec_no=50&block_no=47656&year=2022&month=13&day=&view=h0
9月の観測史上1~10位の値(黄色が今回の豪雨相当分)
https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/rank_s.php?prec_no=50&block_no=47656&year=2022&month=9&day=&view=h0

静岡観測点の日ごとの平年値を見てみると、9月は8.0~10.0mmである。この観点でみれば、日平年値の40倍程度の雨が降ったといえるはずだ。1974年の七夕豪雨に次ぐ24時間降水量であり、激しい雨が短時間に降り注いだ。

「月の降水量」といった観点に立つと、通年で見ると「957.0mm」を2004年10月に観測しており、今月がまだ1週間あるとはいえ、史上10位以内に入っていない。(9月だけで見れば、現時点で2位)

月として見てしまうと、9月としては降ったぐらいで終わってしまうような気がするのだ。

月降水量は、月の比較でいいのでは?

ここで、ここ5年の数値を比べてみよう。

気象庁:過去の気象データ検索より作成

こう見てみると、もちろん多くは降っているが、日の2~3倍に見えなくもない。
24時間降水量は日の境目を気にしないので、日ごとに見ると今回のものは被害が過小に見えそうだ。

もちろんこれらのデータが何だ、という話ではあるが当然毎年晴れる日と雨の日があって、30年の蓄積で平年値となるのだ。日の数値を月と比べてもスケールが違うもの比べても分かりにくいように思う。

もちろん「1か月で普段降る量」が降ったのは「たくさん降った」ことを意味しそうだが、1月は「79.6mm」が平年値、7月は「296.6mm」が平年値で、1か月の降水量を1日で超すことに何ら意味も持ち合わせていないはずだ。別にそれが災害に紐づくことがイコールなわけではないのだから。

24時間・6時間降水量と過去の災害との比較がよい?

もちろん「降水量」は観測結果であるので、「被害を防ぐ」というよりも、その被害がどうであったかといったところに行きつくのかもしれない。

結局のところは、豪雨災害は短時間とてつもない雨が降ることによって起きているのだろう。

そういったことを考えると、24時間や12時間、6時間のような連続した時間軸において、どの程度の強さの雨が降ったかと、それがどの程度の災害を今までにもたらしたことがあるのかが紐づくかどうかのような気もしてくる。

これだけ降りそうだから危ない、これだけ降ったから危ないといった観測結果をどう生かしていくのかも課題なのであろう。

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