自民党は11日、衆院選挙区を「10増10減」する公職選挙法改正案をめぐる党内論議を始めた。政府は臨時国会に法案を提出する方針だが、議席減となる地方選出議員を中心に反対論が根強く、党内の意見集約は難航している。与党主導で決まった「10増10減」への異論は自己否定ともいえ、野党は自民への批判を強めている。
衆院「10増10減」自民、反対論根強く意見集約難航、産経新聞、2022/10/11 20:12,https://news.yahoo.co.jp/articles/caf7ba17157b8b8aafb57e90ebfb80f414574f61
抜本的に変えるのは小選挙区制を辞めるしかない
そうだ。小選挙区制が悪いのだ。ある程度の人口のまとまりを作らなければいけないからだ。
鳥取県は現状2区あるが、21年11月時点で第1区は23万人、第2区も23万人の人口しかないのだ。そう。そもそも都道府県単位で見ても、有権者自体が50万人以下の都道府県はもうすでに生まれてしまっているわけだ。改正前区割りだと多い選挙区は48万人以上いたりする中でだ。東京都は全体で参議院選時点で有権者は1,145万人いるのだ。
小選挙区制という観点と、衆参で異なる選び方は維持していこうとすると、都道府県が1つの選挙区になることは避けようとし続けるだろう。(まぁ参院が合区だから、県単位もありといえばあり)
しかし、今回の答申は各都道府県で最低2つの選挙区は維持している。単純計算すれば東京は49人(1,145.4万/46.3万/2=49.4)とかになるわけだ。上限を決めずに、議員数を増やすとかなら何とかなるかもしれない。でもそれはそれでまた批判をするわけだ。
「小選挙区制」という分け方は、最高裁判例上「2.00倍」という格差制限がある以上毎回変えざるを得ない。現に、今回の改正案ですら案の時点で「1.999倍」だ。(前回は1.956倍)これは国勢調査人口で計算しているから、裁判で使われる「有権者数」とは異なることには留意するべきだろうが、ギリギリだ。どうせ、また選挙があれば裁判は起こされるのだ。
日本においては、二大政党制は成功しなかったわけだ。与野党という枠はあるとはいえ、野党は結局いろいろな党がゴロゴロしているわけだ。二大政党制でないのだから、とっと小選挙区制を辞めるぐらいしか方法はない。
とはいえ、中選挙区制は問題もあって辞めたのだから、何がいいとは一概に言えるわけではないが。
一票の格差を問題にしないなら憲法改正しかない
自民党は党是といいつつ憲法改正なんてしてこなかった。結局できないだろう。
今だってある程度安定した議席数を確保しているのに、さほど進んでないだろう。憲法審査会が開かれていることが進歩なのかもしれないが。
選挙の区割りを変えるだけですら揉めるのだ。自分の権益は大切なのだろう。そんな党では、憲法改正なんて夢のまた夢だ。
自民党は、11日から法案の議論を開始しましたが、出席者からは「地方の声を無視した線引きが行われている」「10増10減の結論ありきはおかしい」などと反対意見が相次ぎました。そのため、あすも引き続き議論することになりました。
ある自民党幹部は、「反対があっても最後は押し切る」としていて、執行部は早ければ今週中にも党内の手続きを終えたい考えです。
“10増10減案”自民党で議論始まるも…反対意見相次ぐ「地方の声を無視した線引き」、日テレNEWS、2022/10/11 19:13、https://news.yahoo.co.jp/articles/a8dbd80e2e34f766579576a3812a126a3a59cd4c
地方を無視しているのは、彼らだ。そう、法律を作り、憲法改正の発議をするのは、議員である彼らなのだ。
選挙の一票の格差問題は、裁判所が問題にしてしまった以上、法整備でコントロールするしかない。高裁が無効判決を出したように、最高裁だって「違憲状態」という判決はすでに何度も出しているわけだ。
その違憲状態を是正するために、憲法改正ではなく、選挙制度でもなく、区割りを変えて維持するのを決めたのは議員自身なのだ。
地方の声だ、結論ありきだと、議員が言うのは甚だおかしい。変えればいいだけだ。彼らにはその権利があるはずだ。
変える方法はいくらでもある
選挙制度そのものを変えるのか、憲法を変えるのか、方法はいくらでもあるはずだ。中選挙区制に戻すのも一つの選択肢だし、比例代表並立制を変えるのも一つの手だろう。本当によくなるのであれば、議員なんて増やせばいいのだ。別にそれも選択肢だ。
格差が人口2倍を超えたら審査会が勧告を行うことは法律で決まっているのだ。そう、議員が作った法律によって、「10増10減」が出てきたのは忘れてはいけない。そして、この勧告はギリギリに出すことを鑑みると、5年に1度は勧告されるのだ。人口推移からすれば、地方が減り都会が増える傾向は収まりはしないだろう。
そのたびに、彼らは毎回文句を言うのだろうか?
そのたびに、自民党は「勧告を受けてから」党内議論をするのだろうか。
彼は本当に議員なのか。疑問でならない。
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